エアコンのフィルター掃除の正しいやり方・注意点・メリットを解説
「フィルターは掃除したほうがいい」と分かっていても、頻度や具体的な方法が分からない方は多いのではないでしょうか。
エアコンのフィルターは、空気中のホコリや花粉をキャッチする大切なパーツ。
定期的にお手入れをすることで、冷暖房の効きが良くなり、電気代の節約やカビ・ニオイの予防にもつながるなど、たくさんのメリットがあります。
この記事では、エアコンフィルターの掃除方法・頻度・注意点を画像付きでわかりやすく解説します。
1.エアコンのフィルターを掃除するメリット
「面倒だな」と感じがちなフィルター掃除ですが、実は私たちの暮らしに直結する大きなメリットがたくさんあります。
定期的な掃除がもたらすのは、「性能アップ」「省エネ」「衛生維持」のうれしい3つの効果。
「やらなければいけない作業」ではなく、「やると快適でお得になる」家事習慣です。
具体的にどんな良いことがあるのか、見ていきましょう。
エアコンの効きが良くなる
フィルターがホコリで目詰まりしていると、エアコンの風の通りが悪くなります。
フィルター清掃で目詰まりが解消されると風の通りがスムーズになり、冷暖房効率が上昇します。
その結果、部屋がすぐに快適な温度に達し、設定温度を維持するための運転時間の短縮につながります。
エアコン本体にかかる負担を減らすことにもなり、結果的にエアコンの寿命を延ばす効果も期待できます。
電気代を節約できる
エアコンの効きが良くなるということは、それだけムダな電力を使わなくて済むということ。
目詰まりがないフィルターなら、モーターが必要最小限の力で空気を循環させられるため、省エネ効果が高まります。
もしフィルター掃除をしない場合、電気代が約5〜10%もムダになる可能性があります。
エアコンは家庭の中でも特に消費電力が大きい家電のひとつ。
こまめな掃除は、環境だけでなく「家計にも優しい習慣」なのです。
カビ・ニオイを防いで空気を清潔に保てる
エアコンのフィルターに溜まったホコリは、カビや雑菌の絶好のエサになります。
特に冷房や除湿運転で発生するエアコン内部の湿気と結びつくと、カビや雑菌は急速に繁殖してしまいます。
フィルターの定期的な掃除によりエアコンから吹き出す風が清潔になれば、嫌なニオイも防げますし、家族の健康にも良い影響が期待できます。
空気環境が整うことで、アレルギー対策にも効果的と言えるでしょう。
2.エアコンのフィルターの掃除頻度とタイミング
メリットはわかったけれど、「じゃあ、いつ掃除すればいいの?」という疑問がわいてきますよね。
使用環境やエアコンのタイプによる最適な掃除頻度を紹介します。
お掃除機能なしの場合
フィルターのホコリを自動で掃除する機能が付いていない、従来型のエアコンの場合です。
このタイプは、吸い込んだホコリがすべてフィルターに蓄積されていくため、汚れやすいのが特長。
冷房や暖房を毎日使用する期間中は、「2週間ごと」の掃除が理想です。
「2週間に1回」と聞くと大変そうですが、慣れれば10〜20分程度で終わる作業です。
カレンダーに印をつけたり、スマートフォンのリマインダー機能を使ったりして、習慣にするのがおすすめです。
お掃除機能付きの場合
「お掃除機能付きだから、何もしなくていい」と思っていませんか?
実は、それは大きな誤解です。
自動掃除機能は、フィルター表面の大きなホコリを取り除くことは得意ですが、油汚れやタバコのヤニ、湿気でこびりついた細かな汚れまでは完全には除去できません。
そのため、お掃除機能付きのエアコンであっても「半年に1回」はフィルターを取り外して汚れ具合を確認し、汚れている場合はお手入れをしましょう。
また、自動で集めたホコリを溜めておくダストボックスも忘れずに掃除しましょう。
季節や使用環境による違い
季節やご家庭の環境によっても、汚れやすさは大きく変わります。
夏・梅雨
冷房や除湿運転でエアコン内部の湿度が高くなります。
ホコリと湿気が組み合わさり、カビ繁殖リスクが最も高まる時期。。
特に念入りなチェックが必要です。
冬
暖房運転で室内が乾燥し、静電気などでホコリが舞いやすく、フィルターに吸着・蓄積しやすくなります。
キッチン・喫煙環境
キッチンに近いリビングや、室内でタバコを吸う環境では、フィルターに油汚れやヤニ汚れが付着します。
これらはホコリと混ざると粘着性が高まり、非常に落ちにくい頑固な汚れとなるため、通常よりもこまめな掃除が求められます。
3.エアコン掃除フィルターの正しい掃除方法
安全かつ確実にフィルターをきれいにするための正しい手順を紹介します。
エアコンの機種によってパネルの開け方やフィルターの形状が異なる場合があるため、作業を始める前に、必ずご自宅のエアコンの取扱説明書を確認してください。
手順①パネルをはずす
- 安全のためにエアコンの運転を停止します。パネルが完全に閉じたことを確認してから15秒ほど待ち、電源プラグをコンセントから抜いてください。
- パネルの下部(左右両端)の[ロック解除ボタン]を押して、パネルの下側を開けます。
- パネルを少し上に浮かせて、パネルの上部[引掛部](左右両端)を、本体の[軸](左右両端)から、取りはずします。
手順②フィルターをはずす
- [フィルターカバー]の[指掛部](左右両端)を下方向に押しながら、手前に開けます。
- オレンジ色の[ロックつまみ](各2ヵ所)を上方向にスライドして解除します。(左右共:全4ヵ所)
- [フィルター押え]の[指掛部](2ヵ所)を持って、引き上げて開けます。(左右共)
- [フィルター]を下に引き抜いてはずします。(左右共)
手順③掃除機でフィルターのホコリを吸い取る
フィルターの「表面」(ホコリが付いている側、エアコンの前面パネル側)から掃除機をかけてください。
裏側から吸うと、ホコリがフィルターの目に強く詰まってしまい、性能回復が難しくなるため、必ず表面から吸引してください。
掃除機はブラシ付きノズルなど柔らかいものを使用し、フィルター表面をやさしく吸引します。
力を入れすぎるとフィルターが破れたり、枠が変形したりする恐れがあります。
フィルターが変形すると自動掃除機能が正常に作動しなくなる場合があるので、注意深く作業しましょう。
手順④水洗いで汚れを落とす
掃除機で大まかなホコリを取り除いたら、浴室のシャワーなどで水洗いをします。
掃除機とは逆に、フィルターの「裏面」(エアコン内部側)からシャワーを当ててください。
こうすることで、目に詰まった細かなホコリを表側に押し出すことができます。
ゴシゴシと力を加える必要はありません。
やさしく洗い流しましょう。
シャワーの圧も、強すぎるとフィルターを傷める原因になるため注意してください。
手順⑤日陰でしっかり乾かす
水洗いが終わったら、タオルなどで優しく水気を拭き取ります。
その後、風通しのよい日陰で自然乾燥させましょう。
乾かす際は、次の点に注意してください。
- ドライヤーの熱風を当てるのはNG
- 直射日光に当てるのはNG
- ストーブの近くで乾かすのはNG
これらはすべて、熱によるフィルターの変形リスクがあるため、絶対に避けてください。
枠が歪むと、エアコン本体に正しく装着できなくなります。
手順⑥フィルターを元に戻す
- エアーフィルターの「オモテ」を確認します。
- 「エアーフィルター」を[挿入口]に沿って差し込み、奥まで入れます。(左右共)
- [フィルター押え]を閉じます。
- 閉じないときは、エアーフィルターを上か下に少しずらしてから、もう一度閉じてください。
- オレンジ色の[ロックつまみ](各2ヵ所)を下方向にスライドしてロックします。(左右共:全4ヵ所)
- [フィルターカバー]の左右両端を「カチッ」と音がするまで、確実に閉じます。
手順⑦パネルを取り付ける
- パネルの上部[引掛部](左右両端)を、本体の[軸](左右両端)に引っ掛けます。
- パネルの下部(左右2ヵ所)を、「カチッ」と音がするまで、確実に閉じます。確実に閉じていないと、パネル動作不良の原因となります。
掃除時の注意点とNG行為
フィルターは樹脂でできていることが多くデリケートな部品のため、40℃以上のお湯や漂白剤、タワシの使用は避けましょう。
熱や強い力、強い薬剤は変形や破損の原因になります。
さらに、濡れたまま本体に戻すとカビや異臭の発生につながるため、必ず十分に乾燥させてから取り付けてください。
加えて、無理な分解は故障や保証適用外となる恐れがあります。
フィルター掃除はあくまで「日常のお手入れ」の範囲にとどめ、熱交換器や送風ファンなど内部部品の作業は行わないようにしましょう。
4.油汚れ・ヤニ汚れがひどいときの掃除方法
キッチンに近いエアコンや喫煙するお部屋のエアコンは、ホコリに油やヤニが混じり、ベタベタした頑固な汚れがフィルターにつきやすくなります。
ここからは水洗いだけでは落ちない汚れの対処法を解説します。
中性洗剤を使う場合の手順
最も手軽なのは「台所用中性洗剤」を使う方法です。
- 掃除機でフィルターのホコリを吸い取った後、フィルターが入る容器にぬるま湯(40℃未満)を張ります。
- そこに中性洗剤を数滴溶かし、フィルターを15分〜30分ほどつけ置きします。
- 汚れが浮いてきたら、やわらかいブラシ(使い古しの歯ブラシなどでも可)で、フィルターの目に沿って軽くこすります。
- 最も重要なのが「すすぎ」です。洗剤残りを防ぐため、すすぎはしっかりと行いましょう。洗剤が残ると、それが新たな汚れやカビのエサになってしまいます。
- すすぎ後は通常の手順通り、日陰でしっかり乾かしてください。
重曹水を使う場合の手順
自然由来の素材でお手入れをしたい方には、重曹がおすすめです。
重曹は弱アルカリ性で、油汚れ(酸性の汚れ)を中和して落としやすくする効果があります。
- 掃除機でフィルターのホコリを吸い取った後、フィルターが入る容器にぬるま湯(40℃未満)を張ります。
- ぬるま湯1リットルに対し、重曹を大さじ3杯程度溶かして重曹水を作ります。
- そこにフィルターを30分〜1時間ほどつけ置きします。
- つけ置き後、やわらかいブラシで軽くこすります。重曹にはしつこい臭いや油膜に有効な消臭・研磨効果(粒子が細かいため)も期待できます。
- 中性洗剤と同様、しっかりすすいでから乾燥させましょう。
5.エアコンのフィルターを汚れにくくする3つのコツ
掃除の手間はできるだけ減らしたいもの。
日々のちょっとした工夫で、フィルターを汚れにくくするコツをご紹介します。
室内換気をこまめに行う
部屋の空気がよどんでいると、ホコリや生活臭が室内に溜まり、それらをエアコンがすべて吸い込むことになります。
こまめに換気を行い、室内のホコリの絶対量を減らすことが、フィルターの負担を減らす第一歩です。
「内部クリーン機能」や「送風運転」で乾燥を促進
カビや雑菌は「湿気」が大好きです。
エアコンの運転停止後、自動で内部を乾燥させてくれる「内部クリーン機能」が付いている場合は積極的に使いましょう。
無い場合でも、冷房や除湿を使った後に「送風運転」を1〜2時間行うことで、内部の湿気を飛ばし、カビの繁殖を抑えることができます。
吸入口の前に家具やカーテンを置かない
エアコンの空気吸入口の前に背の高い家具やカーテンがあると、空気の循環が妨げられます。
効率が落ちるだけでなく、家具やカーテンについたホコリを集中して吸い込んでしまうことにもなりかねません。
エアコンの周りはモノを置かないようにしましょう。
6.エアコンのフィルターを交換したい場合
丁寧にお手入れしていても、フィルターは消耗品です。
掃除で改善しない場合や、破損してしまった場合は「交換」という選択肢を検討しましょう。
交換の目安と判断ポイント
フィルターに以下のような状態が見られたら、交換のサインです。
破損・変形・黒ずみが見られる場合
掃除中にうっかり破いてしまったり、枠が歪んでしまったりした場合。
また、長年の使用でカビが染み付き、掃除しても黒ずみが取れない場合も、衛生上交換するのが望ましいです。
掃除後も風量や異音が改善しない場合
フィルターの目が完全に詰まってしまい、掃除では回復しないケースもあります。
また、フィルターを交換しても風量やニオイが改善しない場合は、エアコン内部(ファンや熱交換器)に問題がある可能性があるため、専門家も検討しましょう。
純正フィルター・交換パーツの購入先
フィルターを交換する際は、必ずお使いのエアコンの機種に合ったものを選ぶ必要があります。
基本的には各メーカー、純正フィルター・交換部品を直接購入可能です。
非純正品(互換品)は安価な場合もありますが、サイズが微妙に合わなかったり、性能が劣ったりする可能性があるため、純正品の利用を強く推奨します。
例えば、シャープのエアコンの場合、公式のオンラインショップ「COCOROSTORE(シャープ公式オンラインショップ)」で、お使いのエアコンの形名(型番)で検索し、対応する交換用フィルターを購入できます。
他のメーカーをご利用の場合も、まずはメーカーの公式サイトやサポート窓口で確認してみてください。
7.まとめ|エアコンフィルター掃除をこまめに行って快適・節電・清潔に
エアコンのフィルター掃除は、少しの手間で大きなリターンが得られる、とても「コスパの良い」家事です。
フィルター掃除でエアコン性能維持・節電・衛生向上。
この3つのメリットを再確認し、ぜひ定期的なお手入れを習慣にしてみてください。
清潔なフィルターが、快適で節約上手な暮らしをサポートしてくれます。
掃除・点検・交換の3ステップで長持ち
エアコンを長く大切に使い続ける秘訣は、「掃除・点検・交換」の3ステップを意識すること。
- 掃除(定期的なケア): 汚れを溜めない。
- 点検(掃除のついでに): 破損や異常がないかチェックする。
- 交換(寿命が来たら): 性能が落ちる前に新しいものに取り替える。
この定期的なケアがエアコンの寿命を延ばします。
特に、冷暖房を本格的に使い始める夏前と冬前に、この3ステップを見直す習慣をつけることを推奨します。
困ったときは無理に掃除せず、プロに相談を
「フィルター掃除は自分でできたけど、内部のニオイやカビが取れない」「フィルター以外の内部洗浄や部品交換に不安がある」そんな時は、絶対に無理に掃除しないでください。
各メーカーの公式ページ(例えばシャープ公式ページ)には詳しいお手入れ情報が載っています。
正しいお手入れと適切なメンテナンスで、エアコンをベストな状態に保ちましょう。