おせち料理の意味とは?具材や段ごとの由来をわかりやすく解説

おせち料理の意味とは?具材や段ごとの由来をわかりやすく解説
2025年9月16日
おせち料理の意味とは?具材や段ごとの由来をわかりやすく解説

おせち料理の意味とは?
具材や段ごとの由来をわかりやすく解説

年末年始に欠かせない「おせち料理」。
縁起を担ぐ意味が込められていることは知っていても、一つひとつの由来については知らないという方も多いのでは?
そこで本記事では、由来や意味をわかりやすくご紹介。
おせち料理の背景を知り、より味わい深い時間を過ごしてみてくださいね。

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「おせち」という言葉は、もともと「お節供(おせちく)」から生まれました。
これは、節句や季節の節目に神様へお供えする料理のことを指します。

日本では古くから、季節の変わり目や年中行事の際に、自然の恵みやその年の無事を感謝する習慣がありました。
お節供はその象徴的な料理で、人日(1月7日)・上巳(3月3日)・端午(5月5日)・七夕(7月7日)・重陽(9月9日)など、五節句に合わせて作られていたのです。

やがて、お正月が一年で最も大きな節目とされるようになり、節句料理の中でもお正月のお節供が特に重要視されるようになりました。
これが現在の「おせち料理」の原型です。

現代のおせちは、「新しい一年の健康や繁栄を願い、家族や親しい人と囲むごちそう」として定着しています。
重箱に美しく詰められた料理には、見た目の華やかさだけでなく、一つひとつの食材に縁起や願いが込められており、新年を晴れやかに迎えるための大切な文化として受け継がれています。

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祝い肴・焼き物・煮物などを重箱に詰めるおせち料理。

現在主流なのは三段重ですが、地域や家庭によっては四段、五段にする場合もあります。
また、段数や詰め方にはそれぞれ意味があり、新年を祝う縁起や願いが込められています。
そこで本章では一の重から五の重までをご紹介していきましょう。

一の重

一の重には、甘みのある口取りや、お酒の肴になる祝い肴が詰められます。
彩りも鮮やかで、重箱のふたを開けた瞬間にお正月らしさが広がる段です。
それぞれの料理には、長寿や健康、繁栄を願う意味が込められています。

二の重

二の重には、縁起の良い海の幸や焼き物、彩りのある酢の物や和え物を詰めます。
力強い海の恵みとさっぱりした口直しが組み合わされ、新年のお祝い膳を引き立てます。

三の重

三の重は、山の幸をふんだんに使った煮物が中心。
野菜や根菜には、家族の繁栄や将来の安定を祈る意味があります。

与(四)の重

「四」は「死」を連想させるため、本来は空にしておくのが習わしです。
ここには「これからの繁栄や幸運を詰める余白を残す」という意味があります。

五の重

五段まで用意する場合、地域や家庭によって詰め方が異なります。
与の重と同じく空にしておく場合もあれば、家族の好物や郷土料理を詰めることもあります。

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祝い肴(いわいざかな)

お正月に欠かせない「祝い肴」は、地域によって3品を基本とすることもあります。
いずれも健康・繁栄・豊作など、一年を通じての幸せを祈る意味が込められています。

数の子

ニシンの卵で、多くの卵がびっしりと付くことから「子宝」「子孫繁栄」の象徴とされます。
二親(ニシン)からたくさんの子が生まれるという語呂合わせも有名です。

黒豆

「まめまめしく働く」という言葉にかけ、健康で勤勉に過ごせるようにとの願いが込められています。
また、黒色は魔除けの意味もあり、邪気払いの縁起物としても大切にされます。

田作り(ごまめ)

小魚を干して炒った田作りは、かつて田畑の肥料として用いられるほど豊漁だったことから、五穀豊穣や豊かな一年を願う象徴となりました。

口取り(くちどり)

祝い膳の中でも彩りが華やかで、甘みや柔らかな食感を楽しめる品々です。
見た目と味の両方で新年を祝います。

伊達巻

巻物の形をしていることから、知識や教養が身につくよう願います。
名前は、江戸時代に流行した「伊達者(おしゃれな人)」の羽織の柄や形に似ていたことが由来とされます。

栗きんとん

黄金色が財宝を思わせ、金運や豊かさの象徴とされています。
武士の時代には「勝ち栗」と呼ばれ、勝負運を高める縁起物としても食べられていたそう。

かまぼこ

赤は魔除けや喜び、白は清らかさを表す色。
半月形の断面は水平線から昇る日の出を思わせ、新年の始まりにふさわしい食材です。

焼き物・海の幸

祝い膳の中でも力強さや華やかさを添える段。
海の恵みは古来より特別なごちそうとされ、縁起を担ぐ意味が強く込められています。

海老

背中が曲がるまで長生きできるように、という長寿祈願の象徴。
長いひげと紅白の色合いも、おめでたさを演出します。

「めでたい」という語呂合わせと、堂々とした姿から、祝いの席には欠かせない魚。
赤い色も縁起の良さを象徴します。

ブリ

成長に合わせて名前が変わる出世魚。
昇進や事業の成功を願う意味があり、特に西日本ではお正月の定番です。

煮物・山の幸

根菜や山の幸は、家庭の結びつきや将来の安定を象徴します。
保存性にも優れ、冬のお正月にぴったりの料理です。

れんこん

穴が空いていることから、将来の見通しが明るく開けるようにという願いが込められています。

くわい

大きな芽が出ることから「芽出たい(めでたい)」とされ、出世や成功の象徴とされます。

里芋・八つ頭

親芋から子芋がたくさんできる性質から子孫繁栄を祈ります。
八つ頭は「頭になる」という意味も込められ、出世運にもつながります。

酢の物やその他

味を引き締め、彩りを添える酢の物や一品料理にも、それぞれ縁起の意味があります。

紅白なます

人参と大根の紅白の色合いは、祝いの水引を思わせます。
酢で和えることで、口直しや食欲増進の効果も。

昆布巻き

「よろこぶ」という語呂合わせで縁起物とされます。
巻き物の形は繁栄や長寿を表すともいわれます。

チョロギ

らせん状の形が特長的な根菜で、古くから長寿祈願の食材とされています。
数は少ないながら、印象的な存在感があります。

おせちは華やかで美味しいだけでなく、実は細やかな工夫や意味が詰まっています。
知ってから味わうと、さらに特別感が増す小話をご紹介して行きましょう。

甘く味つけされている理由

黒豆や栗きんとんなど、甘めの味付けが多いのは、実は単なる好みではありません。
砂糖には保存性を高める効果があり、冷蔵設備がなかった時代でもお正月の三が日を通して安全に食べられるよう工夫されてきた名残なのです。

品数が奇数なのは縁起担ぎ

重箱に詰める品数は、基本的に奇数にするのがしきたりです。
「割り切れない=縁が切れない」という意味があり、ここには家族や縁を長く続ける願いが込められています。

祝い箸の由来

両端が細くなっている祝い箸は、一方を人間が使い、もう一方を神様が使うとされます。
新年は神様と食事を共にするという考え方から、この特別な形の箸が用いられるようになりました。

避けられていた食材や調理法

昔はお正月に、牛や豚などの四足動物の肉や、火や刃物を使う料理は避ける習慣がありました。
これは神様を迎える期間に殺生や新たな切断を避けるためで、調理は年末に済ませておくのが基本だったのです。

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▲中国の旧正月(春節)に食べられる料理

新しい年の幸せや健康を願って特別な料理を食べる習慣は、日本だけのものではありません。
世界各国にも、その土地ならではのお正月料理があります。

中国

旧正月にあたる春節では、家族そろって餃子や魚、お餅などを食べます。
餃子の形は古代中国の貨幣に似ていることから「金運を呼び込む」とされ、魚は「余(ゆう)」と同じ発音で「豊かさが余る」という意味を持ちます。
お餅は家族の絆や長寿を象徴します。

韓国

お正月には「トック」と呼ばれる餅入りスープを食べるのが定番です。
白い餅は清らかさを表し、丸い形は貨幣を連想させることから、無病息災や豊かさを願う意味があります。
トックを食べることで「ひとつ年を取る」とも言われ、人生の節目を感じさせる料理です。

アメリカや南米

アメリカ南部では「ブラックアイドピー」という黒い斑点のある豆を煮た料理が、南米ではレンズ豆や金貨型のパンが“幸運を呼ぶ食べ物”として親しまれています。
豆は豊かさや繁栄の象徴とされ、年初に食べることで一年の金運上昇を願います。

国や文化は違っても、「新しい年を食で祝う」という行為や、食べ物に祈りを込める気持ちは世界共通です。
料理を囲むその時間こそが、家族や仲間との絆を深め、良い一年のスタートを切る大切な儀式となっています

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ここまでご紹介してきた通り、おせちは、見た目に華やかなごちそうであるだけでなく、日本人の暮らしの知恵と、新年を良い一年にしたいという祈りが詰まった文化です。

一品ごとの由来や込められた願いを知ることで、食卓に並ぶ料理がただの料理ではなく、「過去の日本から受け継がれた物語」に変わります。
一年の始まりに、おせちを通して日本の文化や先人の想いに触れてみてはいかがでしょうか

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